OMAMORI

 本プロジェクトは、作品「背守りの構造を使った世代継承と物語」の連作としての位置づけである。
「背守り」を通して薄れゆく世代継承の感覚に今一度触れてもらい、文化として定着させることを目的とする。  お守りは御利益の一部として神社から配布されるものである。この神社ーお守りの関係性を用い、私たちは「世代継承の観念」を「OMAMORI」として配布する。参加者は、「OMAMORI」とそこで実践する「背守り」によって、そこに封入された世代継承の行為に触れてもらう。御利益の配布と定期的な返納儀礼のあるお守りの構造をメタファーに、世代継承の観念が広がっていくことを想う。

背守り・縫い針・先祖と一緒に過ごした年月の刻印
私たちの考える世代継承の大切な要素を桐箱 に封入し、「OMAMORI」として配布する
桐箱に込めた「世代継承の観念」は、私たちの想いの分霊となり、
それはまるで神社が御利益を配布するように、多く流布することを思う


背守りと世代継承のプロジェクト

<OMAMORI> 桐箱. 背守り. 背守り針. 記録紙

参加方法

 一:参加条件をご確認の上、お問い合わせフォームよりお申し込み →こちらから
 二:「OMAMORI」の詳細を記したPDF ファイルをお送りします
 三:本プロジェクトの趣旨をご了解頂いたのち、「OMAMORI」をこちらで制作し送付いたします

参加者条件

プロジェクトの趣旨にもとづき、以下の条件がございます

 一:既に亡くなっている先祖(祖父や祖母など)の着物をお持ちの方
 二:参加者自身と同時代を生きた方(先祖が亡くなった時、参加者がすでに生まれている方)
 三:ホームページや展覧会での、参加者のお名前や生没日などの使用をご了解いただける方






手順

一:先祖の着物を用意し、OMAMORIから背守りと背守り針を取り出す

  *背守りは参加者本人とその祖先の二人分入っています
   色による背守りの種別はこちらから

二:着物に縫い目の案内線をまち針等で記す

  * 背守りの縫い目の数は、先祖との共有時間を表します
  *左側(直線)は12 針(固定)で、1 年(12 ヶ月)を表し、
   右側(斜線)は最後の1 年の共有月を表します
   ex. 共有時間3 年11 ヶ月のとき、左側12 針、右側が11 針

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三:背守りに縫い付けていく

  *縫い目は、各性別の縫い方に従います
  *参加者本人の背守りを左側(直線)に、参加者の先祖の背守りを右側(斜線)にそれ  ぞれ縫います。

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四:二つの背守りの糸を着物の裏側(襟元部分)に出し、結ぶ

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五:完成

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 古来より邪気は背中から侵入すると語られていた。
子どもの着物には縫い目がなかったため、昔の人々は背中に縫い「目」をつけて、邪気の侵入を防ごうと考えたのである。
「背守り」とは、大人たちが子どもの健康を願った祈りであった。
私たちは、むかし祖父が使っていた着物の背中に、「背守り」を縫いつけることにした。祖父と共有した年月を想い起こし、 祖父から享受した健康への祈りを想像しながら、縫い目を入れていった。縫いつけられた「背守り」は、やがて私たちの子 どもへの祈りの刺繍となり、受け継がれていく。私たちは、前の世代から託された存在であり、また次世代に託す存在でもある。
換言すれば、それは前の世代には託した存在がおり、未来にはまだ見ぬ託す存在がいるのである。
私たちは繋がっている。「背守り」は、その繋がりを可視化させる「糸」のようなものである。

作品「背守りの構造を使った世代継承と物語」より