A benefit stone

利益の石


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顕微鏡ごしの宝石

Microscopic jewelry

デジタルプリント(3枚)

digital print(3photos)
118×84cm


天然宝石と人造宝石の顕微鏡写真。
飯盛里安はきっと顕微鏡越しのこのイメージを見ていた。
飯盛里安の次男昌三氏は、父の没後、父の残したスケッチや詩を集め『追想』という冊子を制作し、身近な人に配った。私たちもそれに呼応するように「追想」の名の下、利益の石について彫刻化していく。

石が持つさまざまな距離化を探索する。私たち自身も距離化の力学を経験し、学び、そこから新たな媒介と距離化を立ち上げる。












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3つの追想

Three recollections

HD movie(19分10秒)

HD movie(19 minutes 10 seconds)


飯盛里安の日記
最晩年の日記から、心象、特に美的感覚について綴られた日を指追いしていく。

長手島
飯盛里安は長手石を探した際に長手島をスケッチした。

サエノタワ
峠の風景は、順/逆再生を繰り返しながらスロー再生されている。一方向の時間軸が排除され、 〈いま・ここ〉の混乱を生む。いつの誰でもない「習俗」そのものに近い。












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ブリリアンカットの長手石

brilliant cut Nagate stone

人体解剖学のプレパラート, 長手石, デジタルプリント

, Nagate stone, digital print
40×40×40cm


自然科学は「知らないことがある」ことを明確に認識していて、知と未知の境界を知っている。
彼らは、知らない世界の白マスを冷静に一つずつ黒く塗りつぶしていく。
対照的に、私たちの『追想』 は知ったはずの史実をもとに知らないことの存在をサーチする姿勢である。












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利益とご利益の石

Benifit and Benefit stone

長手島で拾った石, ミサンガ, アクセサリーチャーム

stone in Nagate island, good-luck bracelet with accessory charm, found object
50×50×15cm



異質なものが置かれる、見慣れない行動に出くわす、天変地異が降りかかる、異人がやってくる。

個人にとってそれは一つの事件である。そして、それは相対性理論の重力場のような「ゆがみ」と「関係」を生むことである。当初その空間を漂う違和感や戸惑いは不都合さは、いつしか自然と平衡に向かっていく。

私たちはその平衡化のプロセスの中にこそ、豊饒なるものが潜んでいるのではないかと問い続けている。利益を求め、ご利益を賜ろうとするという意識の中に、社会的平衡へ向かう要素が含まれていて不思議はない。












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薄片

Flake

ビクトリアストーン原石, HD movie(7分15秒)

Victoria(Iimori) Stone on TV -HD video(7 minutes 15 seconds)



天然石が地球上でもっと採取できたなら、人造宝石は生まれなかったかもしれない。アーススケール、つまり稀少性の問題である。

言わずもがなアーススケールはそのまま市場論理につながる。人造宝石や自然石。展示空間に散りばめられた様々な石を、「薄片化」し「顕微鏡で見る」という行為は、その物質の断片化によってアーススケールの問題を一度埒外に置くことである。

目の前に映り込む薄片という断片を通して、スケールの認知を試みる。それは私たちなりの距離化の力学を知る手がかりになる。












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全書(利益の頁)

encyclopedia(page of Benefit)

ミクストメディア

sculpture & collage & acrylic & wax on wood
90×180cm


ここにあるのは、たとえば六曲一隻屏風のうちの一扇のようなもの、あるいは百科事典の一頁のようなものといえるだろう。

私たちは日々、設定したテーマに対して、継続的にサーチを続ける中で見つけた意匠を拾遺している。それは未完であり続ける。項目ごとに区分けされ、新たな区分けを作ったり、注釈や書き込みをする余地を残している。

紛争ダイアモンド、飯盛里安のスケッチ、ご利益の造形...。ここには石と利益をめぐる意匠が集められた段階が見える。












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刺繍の彫刻

Embroidery sculpture

糸, ジェッソ

embroidery on wood
60×360cm


伝統技法の加賀繍によって宝石が立体的に刺繍されている。刺繍は、着物を高貴で華やかにし価値 を高める効果を持つ一方、 仏像の姿を縫い込む繍仏や背守りという魔よけのための精神世界の表現でもあった。市場と信仰、そして利益とご利益を往来する糸と縫いである。












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